今回は、ハイブリッド型研修会での開催となった。
医療法改正により検体検査の精度保証が義務化されたことを背景に、精度管理への関心が高まっている現状が示された。精度管理は検査結果の品質を担保するための取り組みであり、ISO15189をはじめとする国際規格や微生物検査に関する基準、精度管理の実践について解説が行われた。
病院における感染対策指針の策定や院内感染対策委員会の役割、多職種連携と微生物検査技師の立場から見た課題、AMR対策アクションプランについて説明があり、薬剤耐性菌の現状と臨床的位置づけについての講演が行われた。
【講演1】『微生物検査の精度管理について
(ISO、CLSI、関係法規からの学び)』
島津ダイアグノスティクス(株) 学術部 岩脇 研次 氏
医療法では、検査を実施する際の精度確保のため、標準作業書や作業日誌・台帳の作成、内部・外部精度管理、研修の実施などが定められている。また、ISO15189では施設の技術能力が認定される。
EUCAST や CLSI は微生物検査における MIC やブレイクポイントを定めており、薬剤感受性試験を実施する際に重要な参考資料となる。特に最新版での評価が必要であり、その閲覧方法についても紹介・解説があった。さらにISO20776による感受性試験および試験機器の性能評価規格についても解説があり、精度管理の実践として菌株の管理方法や内部精度管理の具体的手法が示された。
【講演2】『アウトブレイクおこらないために私たちができること』 講師:浜松医科大学医学部附属 感染制センター 古橋一樹 先生
医療機関における感染対策の目的は、院内での感染症発生を未然に防ぎ、発生した際にはその拡大を阻止することである。そのためには、院内感染対策委員会(ICC)や感染制御チーム(ICT)による組織的な体制が不可欠であり、多職種がそれぞれの役割を担いながら継続的に活動することが基盤となる。
感染対策は ICT や AST(抗菌薬適正使用支援チーム)だけでなく、病院に関わるすべての職員が取り組むべき課題である。また、院内のみならず地域連携の重要性も強調され、院内感染対策地域支援ネットワークの意義や役割についても理解が深まった。
薬剤耐性菌(AMR)は世界的に深刻化しており、治療困難や死亡率上昇を招く重大な問題である。不適切な抗菌薬使用(薬剤選択・投与期間)、カルバペネム耐性菌などの早期検出体制、耐性菌持ち込みのリスクなど、多くの課題が存在する。これらに対応するためには、地方自治体との連携、情報発信、地域の現状把握と共有を基盤とした地域連携体制の強化が必須である。さらに、知識の底上げと人材教育の推進が求められる。微生物検査技師は、多様な耐性菌に対し迅速かつ正確に感受性検査を実施し、臨床医および ICT に適切な情報提供を行うことが求められ、早期の対策に貢献することができる。そのためにも、技術と知識のさらなる向上が必要であると感じた。