研修会のご報告

令和7年度第1回 臨床微生物部門研修会

テーマ

アウトブレイクがおこらないために私たちができること

日時

2025年11月22日(土)14:00~17:00

会場

静岡県産業経済会館+Web会場(Cisco Webex)

今回は、ハイブリッド型研修会での開催となった。

医療法改正により検体検査の精度保証が義務化されたことを背景に、精度管理への関心が高まっている現状が示された。精度管理は検査結果の品質を担保するための取り組みであり、ISO15189をはじめとする国際規格や微生物検査に関する基準、精度管理の実践について解説が行われた。

病院における感染対策指針の策定や院内感染対策委員会の役割、多職種連携と微生物検査技師の立場から見た課題、AMR対策アクションプランについて説明があり、薬剤耐性菌の現状と臨床的位置づけについての講演が行われた。

【講演1】『微生物検査の精度管理について

(ISO、CLSI、関係法規からの学び)』

島津ダイアグノスティクス(株) 学術部 岩脇 研次 氏

医療法では、検査を実施する際の精度確保のため、標準作業書や作業日誌・台帳の作成、内部・外部精度管理、研修の実施などが定められている。また、ISO15189では施設の技術能力が認定される。
EUCAST や CLSI は微生物検査における MIC やブレイクポイントを定めており、薬剤感受性試験を実施する際に重要な参考資料となる。特に最新版での評価が必要であり、その閲覧方法についても紹介・解説があった。さらにISO20776による感受性試験および試験機器の性能評価規格についても解説があり、精度管理の実践として菌株の管理方法や内部精度管理の具体的手法が示された。

【講演2】『アウトブレイクおこらないために私たちができること』              講師:浜松医科大学医学部附属 感染制センター 古橋一樹 先生

医療機関における感染対策の目的は、院内での感染症発生を未然に防ぎ、発生した際にはその拡大を阻止することである。そのためには、院内感染対策委員会(ICC)や感染制御チーム(ICT)による組織的な体制が不可欠であり、多職種がそれぞれの役割を担いながら継続的に活動することが基盤となる。
感染対策は ICT や AST(抗菌薬適正使用支援チーム)だけでなく、病院に関わるすべての職員が取り組むべき課題である。また、院内のみならず地域連携の重要性も強調され、院内感染対策地域支援ネットワークの意義や役割についても理解が深まった。

薬剤耐性菌(AMR)は世界的に深刻化しており、治療困難や死亡率上昇を招く重大な問題である。不適切な抗菌薬使用(薬剤選択・投与期間)、カルバペネム耐性菌などの早期検出体制、耐性菌持ち込みのリスクなど、多くの課題が存在する。これらに対応するためには、地方自治体との連携、情報発信、地域の現状把握と共有を基盤とした地域連携体制の強化が必須である。さらに、知識の底上げと人材教育の推進が求められる。微生物検査技師は、多様な耐性菌に対し迅速かつ正確に感受性検査を実施し、臨床医および ICT に適切な情報提供を行うことが求められ、早期の対策に貢献することができる。そのためにも、技術と知識のさらなる向上が必要であると感じた。

令和6年度 第2回 臨床微生物部門研修会

テーマ

明日から仕事で使える細菌検査のこと

日時

2025年2月8日 14:00~17:00

会場

web開催

【講演1】「当院における血液培養ボトルの血液量調査の取り組み」
講師:磐田市立総合病院 黒田 志保 技師
採血量の増減は検査結果に影響を与える因子であり、その結果を定期的にフィードバックすることが重要です。血液培養において採血量、2セット採取率、陽性率、1,000患者/日あたり採取数、汚染率などICT活動などを通じてその品質保証の指標として利用されています。採血量の調査法や運用に多くの労力を割き非常に熱心に検討されていることが伺えました。採血量が少なくても多すぎても検出率の向上がみられず適切な採血量が存在することが理解できました。ICNなど他部門との共有認識が必要であり採血量の管理が不可欠で重要性を考えさせられました。多くの施設で精度管理を含め、血液培養の品質を向上させるために取り組むべき必要性があると改めて認識させられました。

【講演2】「実臨床で使える耐性菌検出の検査フロー」
講師:ベックマン・コールタージャパン 津田 慎太郎 氏
薬剤耐性菌の検出は、医療現場においてますます重要になっています。CLSIの基準値に基づく薬剤感受性試験(微量液体希釈法標準法)の原則について説明された。多くの施設で分析機を使用し、微量液体希釈法を用いて薬剤感受性試験を実施しています。分析機で耐性菌が疑われる場合は、アラートが表示され、確認試験のタイミングや方法、自然耐性(内因性耐性)を示す菌種と抗菌薬の組み合わせについて現状と共に詳しく説明されました。他社製品や用手法でも同様の確認試験が実施されるべきことが述べられました。最新のCLSI基準を満たした報告書の作成の必要性が強調され明日からの実務で役立つ具体的な手法が多く紹介され、今後の業務に直接生かせる内容が多くありました。

令和6年度 第1回臨床微生物部門研修会

テーマ

明日から仕事で使える細菌検査のこと

日時

2024年8月3日(日)14:00~17:00

会場

Webexを利用した研修会
参加者:45名
実務員:6名
講師:2名

【研修会内容】

今回もWeb型研修会での開催となった。CLSIの変更は、新規抗菌薬への対応や抗菌薬の感受性と耐性菌の出現によるブレイクポイントの基準値の最新情報が示されています。臨床での細菌検査データの見方使い方では、患者に対して最適な治療を提供するために、感染症科医師と臨床検査技師はそれぞれ重要な役割を果たすことにより、常に最新の情報を基にした検査を行うことで、感染症の診断と治療がより効果的になります。注意すべき症例や基礎知識を学べるような内容と臨床医との関わり感染症治療についての研修会を開催しました。

【講演1】「CLSIの変更点、注意点」 講師:栄研化学 学術

CLSIは微生物検査のブレイクポイントを定めています。薬剤感受性試験を行う際に参考となるものです。Mシリーズの最新版の閲覧方法を紹介していただきました。M100ED34の変更点の解説して頂きました。精度管理調査でも重視され、日常検査においても最新版で評価することが推奨されています。最適な患者治療のための重要情報となります。毎年変更されるため常に最新版への更新が必要です。

 

【講演2】「臨床での細菌検査のデータの見方、使い方」

講師:静岡県立がんセンター 中屋 雄一郎 先生

感染症科医師の立場から診断と治療計画、さらに微生物検査について実際の症例提示と共に講演をして頂きました。症例では起炎菌の推定と最適な抗菌薬投与治療、検査室では起炎菌の同定感受性試験の結果報告を実施。それぞれの役割で臨床検査技師は微生物検査や薬剤感受性試験を通して、感染症医師に必要な情報を提供します。感染症治療において最も重要なことは医師と臨床検査技師の情報共有と定期的なコミュニケーションを密にすることで患者の状態や検査結果と治療の成果などにつて検討を行っていくことが重要であるとの内容でした。

 

皆さま参加ありがとうございました。

令和 5 年度 第 1 回臨床微生物部門研修会報告

テーマ

『テーマ』やってなくても知っておきたい抗酸菌の基礎知識

日時

2023 年 11 月 25 日(土)

会場

Web 会場(Cisco Webex)
参加人数32名

【研修会内容】
今回も Web 型研修会での開催でした。抗酸菌検査をすべて自施設で実施してる施設は少な
い。たとえ検査は外注であってもガイドラインや検査の現状など基礎知識を学べるような
研修会を開催しました。

 

【研修会報告】
【講演 1】抗酸菌検査ガイドラインの解説と現場の取り組み
「現場での取り組み」
実際に抗酸菌塗抹・培養・同定・薬剤感受性・核酸増幅検査を実施している施設の日常業
務に沿った説明であった。実際の業務風景の画像もあり、また検体数や陽性率など、やっ
ていない施設にもわかりやすい内容であった。

「抗酸菌ガイドライン(IGRAガイドライン変更点)」
IGRA検査は自施設ではほとんど実施していないが、検査方法・結果の解釈・判定基準、
さらに結核の現状の講義であり、興味深い内容であった

【講演 2】非結核性抗酸菌症の基礎
非結核性抗酸菌症が急増している現状とともに抗酸菌検査の基本的は進め方、非結核性抗
酸菌の薬剤感受性検査の使い分け、さらに化学療法に至るまで幅広い内容であった。

 

いずれの講演も抗酸菌検査をやっていない施設でもわかりやすく、自施設で抗酸菌検査を
取り入れる際のハードルも低くなり身近に感じられる内容であった。

 

2022 年度 第 1 回臨床微生物部門研修会報告

テーマ

テーマ『微生物検査の聞きたいこと』
【講演 1】グラム染色-グラム染色でわかること、伝えられること
【講演 2】ISO 取得でのここをやっておくといいかも
【座談会】聞きたいこと聞きましょう!

日時

2023 年 1 月 14 日(土)14:00~16:00

会場

Web 会場(Webex)

-研修会内容-
今回も WEB 型研修会での開催。コロナ渦となり研修会ではコロナ・アフターコロナに対する
内容が多い中、基本に戻りグラム染色について、また ISO 取得する場合に必要なことについて、
ざっくばらんに話ができるような研修会を開催しました。
【講演 1】グラム染色-グラム染色でわかること、伝えられること
グラム染色の基礎・原理・染色法の違いなど基本的なことを、図などを用いて説明された。症
例として血液培養・尿・喀痰2例ずつ提示された。
それぞれの検体・症例について患者背景や染色像よりわかることとして、推定される菌名・感
染状況・検体の質などがあり、そこから伝えられることとして抗菌薬の情報・検体採取法・次
検査案内など付加価値をつけられるような説明があり、日常検査ですぐにでも実践できる内容
であった。講演中は参加者に質問したり、Web ではあるが参加型の形式であった。
【講演 2】ISO 取得でのここをやっておくといいかも
ISO15189 取得において、要求事項とその要件を満たすための準備について、実際に作成した
試薬台帳や文書や在庫・申し送りの様子などを写真も用いてわかりやすく説明された。要求事
項の解釈についてや、実施していく上では効率の良い動線や続けられる運用が大切とのアドバ
イスもあった。ISO 取得する・しないに関わらず、まずは環境整備を整え、作業手順書作成・
改定時は要求事項に沿って作成、在庫管理・試薬管理などできることを日頃から実施すること
で、検査室をきれい保てたり、試薬期限切れ防止につなげることができ、またいざ取得となっ
た場合でも慌てることがないと、検査業務ではないが興味深い内容であった。
【座談会】聞きたいこと聞きましょう!
こんなこと聞いてもいいのかな?と思わずになんでも言ってみようというコンセプト
あえて座談会という場は設けなかったが、それぞれの講演についてチャット機能も使用し活発
な質疑応答となった。
今後も研修会などを通して、日頃から施設内だけでなく他施設とも顔見知りの関係を構築して
いくことで、困った時や迷った時に些細なことでも相談できる環境ができ、自身・自施設の知識・技術の向上につなげていきたい。